学部長挨拶

海の科学の世界へ

Yoshitaka Sakakura
 海は人間の心の豊かさの源泉です。そして、海は陸上の気候や環境、生物にも大きな影響を与えています。多様な生物に富む海から、人々は太古の時代より、多くの食料を得てきました。ここに水産学の原点があります。
 そして現代。科学技術が急速に発展し、地球人口は爆発的に増加しています。人間の社会経済活動によって、大量のエネルギーが消費され、環境にも大きなインパクトを与えるようになりました。海でも温暖化や酸性化などの問題が進行しています。これまで、海の生物を食料として人々に届けることが水産業の大きな目的でしたが、今では、海の資源に限りのある中で、海の豊かさを守り、海の恵みを未来に引き継いでいくことを真剣に考えなければならない時代になっています。
 幸いなことに、自然科学と科学技術はめざましい進歩を遂げています。水産学も、生物から食料を作るだけの学問から、あらゆる科学分野の統合のもとに、地球と海と人間をつなぐ学問として発展しています。
 平和文化都市・長崎に置かれている長崎大学は、教職員と学生の数が12000人を超える総合大学です。これまでに6500余名の学生が水産学部を卒業し、水産・海洋関連を含む広範な分野で社会に貢献しています。
 水産学部では、長崎の海と地域の学びの場として、未来の持続可能社会のリーダーとなる人材を育成するために、海洋生物学をコアとする新たなコース教育を令和5年度から開始しました。まず、総合体験型の基礎教育でイノベーションの土台を養い、専門教育では、フィールド科学と生命科学を連携させながら海洋環境保全、食料生産、食品加工へと展開していきます。最新鋭の大型練習船での乗船実習や、水産県長崎をモデルとした地域創生の取り組みなど、特色ある教育カリキュラムを通して、理論と実践力を身につけます。
 豊かな自然に囲まれたキャンパスで長崎でした体験できない充実した学生生活を送ってください。
水産学部長 阪倉 良孝